亀尾の住・居(一期計画 )
西原、東原という二つの台地の狭間に広がる昔ながらの田園風景そして民家の佇まい。そこにはのどかな風景に反して改良された道路を走る車の喧騒さが同居している。
計画地は前面道路に面し、背後には東西に延びる雛壇状の小高い丘陵地を背負っている。
人は住まう為に-本質的にはそれは生きる為に-居場所を求め、居を構える。そしてそこに住み続け自然と対話し、また自分の内面と対話することによって自己の存在を認識する。内面を生かすことが生きることへの豊かさへと繋がる。
欲望的領域化によって規定された住空間はさまざまな時間的場面性を生み出し、それは住み手の内面に作用し、また住み手が自己をふりかえる契機となっている。
一方前面道路に面して-オープンスペースとして-設えられた小高い丘は昔ながらの近隣の人々の交流の場、いわば地域の縁側である。そこに植えられた桜の木が成長すればときにはそこは心地よい木陰となり、またときには祝祭的空間となる。