亀尾のアトリエ1期

アトリエの周辺は小高い丘と田園風景という自然豊かな地形性をもち、また地名が南北朝時代の亀尾城に由来するように、その歴史性をもち、そこにはこの地形性や歴史性を背景に、長い時間の流れのなかで、自然と共に生きてきた人間の営みが空間化され、風景がある。それは、そこに生きる人間にとって、親しみある、確かな風景となっている。たとえば自然の木々のなかに連続する瓦屋根をもつ民家の風景もそうである。

大屋根の下に、内包された12m×6mの矩形平面をもつ内なる空間は、水平性と垂直性が顕在化された木の架構と和紙で仕上げられた壁、天井面によって構成され、そこに働く求心性や鉛直性、また光と影の作用がこの空間を特徴づけている。そこには領域化によって、内なる風景が生み出され、周囲の自然はその一部として取り込まれている。創造の場であり、自己表現の場であるアトリエの空間は周囲の自然に対して自律した空間として存在している。

アトリエの計画は、2期、3期と継続され、3つのボックスが、東ウイング、西ウイングとして、付加され、さらなる領域化が計られる。

床面積
構  造
128u
木造